「水田農業」と「水」の機能  印旛沼地域の水は「印旛沼」「ポンプ場」「用排水路」「水田」「河川」などが
ネットワークとして結ばれ、広域に水を配り、再び沼に戻って循環しています。
 この水の循環により、潤いのある豊かな自然環境が保全されていると云えるでしょう。
 それでは、印旛沼地域の「水田農業」と「水」の関わりについて見てみましょう。


水の循環による環境保全

 印旛沼地域においては、印旛沼から農業用水を谷津田の上部までポンプで送水する形になっています。
 そのため、谷津田は地域の水循環の上位に位置しており、ここから地形勾配に添って用水路・排水路・水田へと流れ、再び印旛沼に戻ります。

 この水の循環の中で、美しい景観・動植物などが暮らす豊かな自然など、人の生活に「潤い」を与えてくれる快適な空間がつくられるのです
・用水を田んぼにひいて水路に流す

・水路・ため池など水辺の植物 アシ・ヨシ 
→ 水が地下へと浸透する過程を形成している

→ 窒素やリンを吸収して
水質を浄化する
→ 炭酸ガスを酸素と水に変えて
地球温暖化を防止


国土の保全(防災機能)

 畦畔(あぜ)に囲まれ浅い池のような水田の形は、稲作に必要な用水を確保する為だけでなく、大雨の時には雨水を一時的に溜めおき、地域の洪水を防止する機能があります。
 印旛沼周辺の田んぼに水を20cm溜めると、印旛沼とほぼ同量かそれ以上の水を蓄えることができます。これに地下水を加えると、地域が蓄えることのできる水の量は更に大きな値となります。

洪水時に遊水池の役割を果たしている水田
 この地域の都市部や集落の畑の排水は、水田内の排水を通り、河川やポンプ場から印旛沼に排水されています。
 水田や排水路・ポンプ場などの適正な維持管理は、農地だけでなく住宅や道路・鉄道など、地域の人々の生活基盤を守る仕事でもあるのです。
 そして、これらの農業用施設は農家や土地改良区によって維持管理されています。


資源の内部循環と植生による環境保全

 水や大気といった環境が大きく破壊されてきたのは、その地域の資源の循環を無視してきたことが大きな要因といわれています。
 農業は、元来その地域にある資源を有効に使って行われてきました。
 草刈りや里山の落ち葉、米を収穫した後の籾殻(もみがら)や藁(わら)などと、家畜や鶏などの糞尿を利用した堆肥(たいひ)などを水田の肥料としていることなどは、その良い例です。
資料用稲の刈り取り(佐倉市)
 農業の兼業化の進展などにより化学肥料も使われてきています。しかし近年では、化学肥料の施肥方法が改善され、使用する量が減少しつつあります。
 また、新たな資源の循環形成に向けて、海外からの飼料に代わる「飼料用稲」を栽培し、畜産農家に供給する取り組みも活発になってきています。




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